後立山(長野/富山) 白馬岳(2932.3m) 2023年7月29日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 0:44 猿倉駐車場−−1:06 長走沢−−1:19 林道終点−−1:36 白馬尻小屋(トイレのみ)−−1:52 雪渓に乗る(標高1670m) 1:55−−2:29 秋道(標高1960m)−−3:27 避難小屋−−4:06 村営頂上宿舎−−4:23 白馬山荘−−4:38 白馬岳−−4:55 標高2860mで戻る−−5:19 白馬岳 5:23−−5:42 白馬山荘 5:52−−6:16 村営頂上宿舎−−7:06 避難小屋−−7:51 大雪渓に乗る(標高2010m) 7:54−−8:09 夏道(標高1670m) 8:12−−8:27 白馬尻小屋−−8:43 林道終点−−8:52 長走沢(水浴び) 8:56−−9:12 猿倉駐車場

場所長野県北安曇郡白馬村/富山県下新川郡朝日町
年月日2023年7月29日 日帰り
天候快晴、ほぼ無風!
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場猿倉に駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無小雪渓の雪も消えて危険個所無し
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
(GPX形式)
ここをクリックしてダウンロード
コメント高山植物開花ピークを期待して北アで最も花の数も種類も多い白馬岳へ。期待を裏切らない広大なお花畑に数々の花のおかげで写真撮影した下山の所要時間は登りと同じだった(汗) 金曜日の宿泊者が相当数いたようで、日の出の白馬岳山頂部は私が見た中では過去最高の100人くらいいたと思う。土日とも好天予報で下山時にすれ違った登山者数は数100人レベルでこれも過去最高。狭い登山道ではいくつもの長い登り行列を待つのにかなりの時間を要した。小雪渓の雪は完全に消えて安全な夏道に変わっていた。大雪渓上端は葱平より下部に移行して長い左岸秋道を歩く。大雪渓にはベンガラが撒かれ真っ暗闇でもルートが分かりやすかった。気温はかなり高く稜線でもほぼ無風だったため、体を動かしていれば半袖シャツと半ズボンのままで寒くはなかった


大雪渓を上がっていく長蛇の列。コロナ明けの影響か、私が見た中では過去最高の人数だった


夜中の猿倉第一駐車場。まだ空きあり 白馬尻
雪渓に乗る(標高1670m) 往路では標高1960m付近で秋道に乗った
沢には橋が架かっていた 避難小屋
村営頂上宿舎前の水場 村営頂上宿舎。今回は周囲に人が多かった
テント場。金曜宿泊でこの多さは驚き 窓の光が明るい白馬山荘を見上げる
白馬山荘。やっぱり人が多い 白馬岳山頂へ向かう
稜線直上には日の出待ちの多数の姿あり 白馬岳山頂。私が見た中では過去最高人数
南の肩にも人の姿 山頂に入りきらず北に下った場所でも日の出待ち
花の撮影のため北へ下る 午前4時50分頃に日の出を迎える
タカネシオガマとミヤマシオガマの比較。白馬岳では両者が見られる。ミヤマシオガマの方が開花時期が早い
**ツメクサ3種の比較。この3種に限っては花の形状で判別可能。ただし別種の花と似ているものが多いので花の形状だけでの判別は簡単ではない
ミヤマダイコンソウの花 ミヤマダイコンソウの株
イワウメ。開花時期が早いのでほとんど残っていない イブキジャコウソウ
ヨツバシオガマ ミヤマクワガタ
咲き残ったウルップソウ 朝日に照らされた山頂
毛があるのでチシマギキョウ 珍しい白花のイワギキョウ
白馬大池方面へ向かう登山者はまだ少ない タカネヤハズハハコ
唯一咲き残ったツクモグサ これも咲き残りのミヤマキンバイ
イワベンケイ 咲き残りのミヤマオダマキ
コケモモ どうやらチシマゼキショウらしい。初めて見た
ムシトリスミレ。まさかこんなところにあるとは思わなかった イワギキョウ
白馬岳山頂再び 山頂のシコタンハコベ。葉の形状が見分けのポイント
山頂のミヤマオトコヨモギ 白馬岳から見た剱岳
白馬岳から見た南〜西の展望(クリックで拡大)
白馬岳から見た北の展望
ミネウスユキソウ テガタチドリ
今年初のコマクサ 日の出を見る人が山のようにいた場所
ミヤマウイキョウ。葉っぱが細かく分かれているのでセリ科では判別容易 咲き残ったオヤマノエンドウ
イワベンケイ イブキジャコウソウ
キバナノコマノツメ ミヤマアケボノソウ
イワオウギ。葱平から山頂まで数多く見られる 白馬山荘。この前でも多数の花が見られる
タカネイブキボウフウらしい。セリ科は難しい ミヤマクワガタ
ヤマガラシ 白馬山荘
水源の雪渓もかなり後退していた タカネヨモギ
ミヤマダイモンジソウ ミヤマキンポウゲのお花畑
ヤマガラシ ハクサンイチゲ
シナノキンバイ ミヤマキンバイ
ウルップソウ 村営頂上宿舎
葉の付き方からミヤマコウゾリナではなくカンチコウゾリナっぽい ハクサンフウロ
まだ登ってくる登山者は少ない オトギリソウ
クルマユリ ミヤマアカバナかシロウマアカバナ。
違いは種子を見ないと分からないらしい
イワオウギを中心とする広大なお花畑 沢沿いはオタカラコウ/メタカラコウのお花畑
登りの登山者とすれ違うようになる お花畑が続く
ミソガワソウ。白馬尻付近まで続く 稜線まで続くお花畑
稜線まで続くお花畑 おそらくオタカラコウ
ミヤマタネツケバナ タカネナデシコ
ずっとお花畑。この規模は白馬岳ならでは ミソガワソウ
ミヤマキンポウゲ オニシモツケ
エゾシオガマ 避難小屋
小雪渓 雪が消えた小雪渓トラバース区間
小雪渓に生えていたミヤマタネツケバナ
葱平へと下る 雪渓脇にはまだミヤマキンバイが咲いていた
葱平のシロウマアサツキ オオカラマツ
大雪渓が近付く ヤマハハコ
葱平以降は続々とすれ違う 左岸秋道
大雪渓末端 ニガナ
左岸秋道。多くの登山者とすれ違う 標高2100m付近
標高2070m付近 大雪渓脇のウルップソウ。こんな低い場所に咲くとは!
大雪渓脇のヒメクワガタ 野生動物撮影用の無人カメラ
大雪渓脇のミヤマオダマキ 標高2050m付近
標高2050m付近 ミヤマキンポウゲだらけ
大雪渓に乗り換えるポイント(標高2010m付近) 大雪渓に乗り換えるポイントから上部を見る
雪渓には登山者の列 雪渓に乗ると吹き降りる風が最高!
続々と登ってくる 長蛇の列。100人は優に超えているだろう
標高1670mで夏道に乗る 夏道取付から見た大雪渓
夏道も大混雑。雪渓と違ってすれ違えないので時間がかかる ミヤマカラマツ
キヌガサソウ オオレイジソウ
白馬尻 白馬尻から見た大雪渓。遠くに見えている
最初の沢に橋が架かっていた(前回は無かった) 登山道下部はタマガワホトトギス多数あり
林道終点 林道終点の車
ヤマハッカ ネバリノギランと思われる
アジサイ 白花のホタルブクロ
山頂に雲がかかり始める 長走沢。ここで水浴びした
ソバナ クガイソウ
クサボタン ヨツバヒヨドリ
コオニユリ。花はクルマユリそっくりだが茎からの葉の出方が全く異なる
猿倉第一駐車場。さすがに満車だったが二俣駐車場までは達せず


 7月下旬は高山植物の開花のピーク。この時期に行くべき山は花の種類、数とも北アでは最高峰と言っていい白馬岳が筆頭だろう。今年は高温で雪解けが早く開花も少し早めに推移しているが、今が開花のピークの一角であることは確実である。真夏の花がたくさん見られる=お花畑になっているはずだ。

 もう梅雨明けしたので週末は混雑が予想されるが、地元特権で夜の早い時刻に駐車場に到着するので駐車場確保の心配はない。前回ここに来たのは7月初めで大雨直後で駐車場はガラガラだったが、今回は金曜夜なのに半分以上が埋まっていてびっくり。これだけの人数が今夜は稜線で宿泊しているわけで、私のような会社勤めではなく定年退職した年代が多いのかもしれない。学生は夏休みに入ったのでそれもあるかも。酒を飲んで数時間の仮眠。遠方からやってきたのだろう、夜中に上がってくる車も多かったが、白馬尻へ向かう林道入口付近に駐車できたので前を通過する車は少なくて済んだ。

 今日は暑くなる予報であり、山頂には日の出の時刻に到着すべく午前1時前に出発。所要時間は4時間強だろうから山頂到着はおよそ5時だ。この時刻に出発するのは私だけかと思ったら、林道から登山道に入ってすぐにトレランと思われる男性に追い越された。おそらく白馬三山日帰り周回だろう。この男性には大雪渓で距離が詰まったが左岸秋道に乗ってからは差が開いて追いつくことはなかった。

 白馬尻には意外にもテントが1張あり。住人を起こさないよう静かに通過。大雪渓に乗るのは前回よりずっと先かと思ったら意外と近くて標高1670m付近。6本爪軽アイゼンを装着して涼しい雪渓へ踏み出す。この時期の雪渓は雪というより氷に近いのでアイゼンが無いと歩行スピードが格段に落ちるので、多少重くなってもアイゼンはあったい方がいい。特に下りでは。

 雪の上にはベンガラが撒かれているが完ぺきではなく、雪表面の汚れ方でルート判断する。前回はそれすら困難で大雪渓を右往左往しながら登ったが、今回はルートを失うことはなかった。それだけ雪解けが進んで雪の中に含まれていた泥などの汚れが表面に堆積したのだろう。

 やがて雪渓の幅が狭まり左岸側に岬のように突き出した砂礫帯が出現。そこには踏跡と目印がありこれが左岸秋道である。この先はアイゼンの出番はないのでザックに収納。既に小雪渓は溶けてトラバース区間は夏道に変わっているのをネットで確認済みだ。

 秋道は新しい足跡が無く思ったよりも道が薄いが、目印はあるし道を失うほどではない。少し上がって標高2010m付近で不意に濃い足跡が登場。どうやら公式にはここまで雪渓を登るようにルートを誘導しているようだった。帰りはここから雪渓に乗った。

 しばらくは左岸秋道で雪渓沿いを高巻して緩やかに上がっていく。この一帯は雪渓が溶けたばかりなのでもっと標高が高い場所で見られる花がたくさん咲いている。一番多いのはミヤマキンポウゲでお花畑を形成している。イワオウギ、ヨツバシオガマ、ヤマガラシも見られた。まだ真っ暗なので写真は下山時に。

 毎年恒例で水量が多い沢には橋がかかっている。これを渡ると葱平の尾根に取り付く。まだミヤマキンポウゲはたくさん咲いていて、前回はまだ咲いていなかったイワオウギはもっと数が多くて主役である。シロウマアサギリの紫のネギ坊主も今回は花を咲かせていた。葱平で下流を見下ろすとライトの光が一つ見えた。おそらく時間差は1時間くらいありそうなので追いつかれることはないだろう。先行しているはずのトレランナーの光はもう見えない。

 雪のない小雪渓を横断して大岩に達すればやっと傾斜が緩む。避難小屋を通過するとお花畑に突入だが、まだ暗いので道端にたくさん花が咲いているのは見えるが斜面全体がお花畑になっているのかは分からなかった。写真撮影は帰りのお仕事である。今の時期はイワオウギが多数派で、セリ科の白い花も目立つ存在だ。今回はイワオウギに似たシロウマオウギ、タイツリオウギ、リシリオウギを発見することが重要な課題で、これは明るくなった帰りに実行することに。

 前回は前日に大雨が降って沢になっていた登山道は、今回は通常に戻っており歩きやすい。あれから3週間が経過しているのでウルップソウやハクサンイチゲ、ミヤマオダマキ等は完全に散っていた。

 村営頂上宿舎前の雪渓で給水。この雪渓も前回と比較して大幅に後退していた。もしかしたら今年は秋になったら雪が完全に消えてしまうかも。ここから稜線までの間は遅くまで雪渓が残っている影響でウルップソウやハクサンイチゲなど周囲では終わってしまった花が今や盛りと咲き誇っていた。花も多いがここからは人も多くなり、軽装の人は白馬岳山頂往復だろうし、ザックを背負った人は主に栂池方面へと縦走する人だろう。まだ暗いので皆ライトを点けている。

 稜線に出ると黒部側の対岸に剱岳が見えるようになるが、今日は空気の透明度がイマイチでさらに遠い槍穂が霞んでしまっている。南アルプスや八ヶ岳、浅間山、志賀高原の山々は全く見えなかった。今回は花が主役なので展望はどうでもいいけど。

 村営頂上宿舎から白馬山荘間の花も季節は移り変わってツクモグサ、ウルップソウ、オヤマノエンドウは完全におしまいで、タカネツメクサ、イワツメクサ、タカネシオガマ、チシマギキョウ等が主役であった。

 まだ窓の光が明るい白馬山荘からは、いつもなら花を愛でるために東の建物前を通って東の稜線上にある登山道を登るのだが、まだ写真撮影できる明るさに達していないので直進して縦走路を上がることにした。前回はほぼ無人だったのと比較して人が多いこと! 金曜日に入山した人がかなりいるのに驚いた。梅雨明けしたことも影響しているだろう。

 白馬岳山頂に到着してびっくり。山頂には100人以上の大群衆で、これまで20回くらいはここに登っているtろ思うが過去最大人数に違いない。三角点付近に入りきらずに栂池方面への稜線にも人の列が。これらは日の出待ちしているに違いない。今回は思ったよりも時間がかからなかったので日の出前に山頂に到着してしまった。なお、東の空も霞がかかったようになっていて、空の低い位置にはおそらく雲がかかっているだろう。日の出は少し遅くなりそうだし、東の山々から上がるのではなく雲から出るか霧の中を上がってくるように不明瞭な日の出になりそうだ。

 このまま山頂で待っているのも能が無いので、栂池方面へ下ってこれまでのルートでは見られない花に会いに行くことに。あまり下り過ぎると登り返しが面倒であり、ミヤマアズマギクが登場するまでとしよう。なぜかミヤマアズマギクは白馬山荘方面では見られない。おそらくは全く無いわけではなく登山道脇に無いだけだと思うけど。

 少数の登山者は日の出を待たずにこちらに下り始めていた。登山道の両側をキョロキョロしながら歩く私は周囲から奇異な存在と思われたかもしれないが、珍しい花が無いか目を皿のようにながら歩く。ミヤマキンポウゲやミヤマダイコンソウはほぼおしまいに近く、ミヤマシオガマは僅かに残るのみでタカネシオガマが幅を利かせていた。目立ちにくいがイブキジャコウソウも多く見られた。

 珍しい花としてはムシトリスミレを発見。この花は私は八方尾根でしか見たことが無いが、こんな3000m近い稜線でも見られるとは知らなかった。名前の通りスミレの仲間であるが食虫植物という珍品である。他に珍しい花としては白花に近いイワギキョウを発見。通常は濃い紫だが色がかなり薄く白に近かった。この色をしていたのは1株のみであった。おっと、1株だけツクモグサの花が残っていた。

 そして登山道が稜線東側に移った箇所でミヤマアズマギクが登場。この界隈ではミヤマクワガタも多く見られた。既に日の出を迎えており、ここでUターンして山頂に戻ることにした。帰りの方が明るいので写真を撮影しながらである。日の出を山頂で眺めて栂池方面へと縦走に向かうたくさんの登山者とすれ違った。

 白馬岳山頂に到着するとまだたくさんの登山者がいた。山頂に咲くシコタンハコベを撮影して南の肩に移動して展望写真撮影。今回は調子が良く疲労をほとんど感じなかったのでこのまま休憩無しで下ることにした。帰りは花の撮影で時間がかかるので早めに出るのはいいことだ。

 帰りは東の稜線上の登山道を下る。登りでは白馬山荘宿泊者が多数日の出待ちしていた場所であるが、もうもぬけの殻であった。こちらではミネウスユキソウ、テガタチドリ、コマクサ、ミヤマウイキョウ、咲き残ったミヤマオダマキなど。

 ここでドローンを飛ばしていた白馬山荘関係がいたが、それを示す腕章をしていた。ちなみに昨年調べたところでは、国立公園内のドローンの飛行は許可制ではなく事前届け出制である。また、高度150m以下&人口集中地域以外&夜間飛行なし&目視内飛行&人や物体との距離が30m以上の場合(カテゴリ1)は機体認証も不要であるとのこと。ただし、国立公園内に限った話ではないが、ドローンを飛ばす場合は墜落による物的/人的被害のリスクには十分注意する必要がある。北アルプスのような場所ではドローンの発する音による野生生物柄の影響も心配される。許可制ではないとは言えルールが全く無いわけではなく、事前に国立公園管理事務所や自然保護官事務所に飛行場所や日程を知らせるとともにルールの説明を受ける必要がある。

 白馬山荘付近でも十分に花が楽しめる、というかここなら簡単に見られる花もある。ミヤマアケボノソウやミヤマムラサキがそれに該当する。大雪渓ルートでミヤマムラサキを見たのはこれが初めてだった。

 また、シロウマオウギもここで初めて見た。シロウマオウギはイワオウギの仲間なので花も葉も見た目は非常に似ているが、分かりやすい違いは花の色。イワオウギはクリーム色なのに対し、シロウマオウギはほぼ真っ白。写真では分かりにくいが現物を見れば違いははっきりと分かるほど白い。また、イワオウギは縦に数多く連なった花を付けるが、シロウマオウギは花の数が少ない。花の根元のガクに黒い毛が生えているのも見分けるポイントである。

 同じ仲間でタイツリオウギとリシリオウギがあるが、この2種はイワオウギと違って花が横方向に並んで付くのが特徴であり、花数も少ないのでイワオウギとの区別は比較的容易である。タイツリオウギとリシリオウギの判別は面倒で、花の根元のガクの形状に差がある。タイツリオウギは槍の穂先のように鋭く尖っているがリシリオウギは山がなだらかである。今回はイワオウギ、シロウマオウギ、タイツリオウギの3種を見ることができたがリシリオウギは発見できなかった。ちなみに白馬岳では4種全てが生えているとのことである。ただし、99.99%はイワオウギでそれ以外は非常に少なく、意識して探さないとイワオウギ以外を発見することはほぼ不可能であろう。今回発見したタイツリオウギは避難小屋〜村営頂上宿舎間のお花畑にあったが、周囲は全てイワオウギだったので発見は困難であった。あれではリシリオウギが僅かに混じっても見分けるのは非常に難しいだろう。

 村営頂上宿舎から下も花を探しながら&写真撮影しながらなので時間がかかる。今は登山道から県境稜線までずっとお花畑が続いていてまさに開花のピーク。ここではこれが毎年見られるのだから素晴らしい。沢沿いにはオタカラコウ、メタカラコウの黄色い花の群落。これらは主に山麓の樹林帯の水っぽい場所で見られ、高山植物と呼んでいいのか微妙な存在だ。ミソガワソウは白馬尻付近までずっと見られる。

 雪が消えた小雪渓を通過して葱平付近まで下ると登ってくる登山者の数がぐっと増え、すれ違いの待ち時間が長くなるが、ここもお花畑なので花をじっくり探したり撮影したりで時間が潰せる。葱平ではシロウマアサツキの紫色のネギ坊主が開花していた。この花はこれまでの経験ではここでしか見たことはない。オオカラマツの花も他では見たことが無いなぁ。白馬岳は花の数が多いだけでなく種類も多い。

 葱平を過ぎて橋を渡って左岸秋道へ。ここでも多数の登山者とすれ違う。今日は絶好の好天だが雲が皆無で日差しが強く、この時間帯に登ると汗だくになるのは間違いないだろう。左岸の傾斜が緩んで雪渓近くに道が接近すると標高2000m付近なのにまだ咲いているウルップソウやミヤマオダマキ、ヒメクワガタが登場。周囲にはミヤマキンポウゲの大群落で完全に稜線の植生である。

 下山時は往路で秋道に取り付いた地点より標高が高い位置(2010m付近)で大雪渓に乗った。ベンガラはここで雪渓に乗り換えるように導いていた。アイゼンを外してこれから登りにかかる人、雪渓歩きを終了して上陸する人で大賑わいだ。こちらは数分でアイゼン装着を完了して大雪渓に乗って下り始める。この時刻ではまだ下りの人はごく僅かであった。

 雪渓上は雪の上を吹き降りる冷たい風で涼しくて心地いいこと! ここから秋道に上がって冷たい風とお別れすると汗が噴き出すに違いない。この時期の雪渓は日中でも固く締まっており、今回使った6本爪軽アイゼンでは爪が短くグリップが弱いので、滑らないためには足の置き方や体重のかけ方に工夫が必要である。登りならばそれほど気にする必要は無いが、下りの方がずっと滑りやすい。何度かコケたが滑落するような急斜面は無いので問題なし。ただし時期が進むに従って雪渓表面の泥が増えてコケるとお尻が泥だらけになってしまう。雪渓上も凄い人の数で優に100人は超えていただろうが、狭い登山道と違って雪渓は広いのですれ違いで待つ必要がなく楽であった。

 標高1670m付近で右岸の夏道に乗り換えるが、ここでもアイゼン装着準備中の登山者で賑わっていた。ここから林道終点に出るまでもものすごい数の登山者とすれ違ったが、登山道の幅が狭いので待ち時間が馬鹿にならないほど。登山者がばらけてくればまだ少しずつ進めるのだが、下手をすると30人くらいの大集団で通過に数分はかかるパターンが繰り返し発生した。ここ数年では最も人数が多かっただろう。コロナの5類移行の影響もあるだろう。明らかにツアーと思われる団体パーティーも見かけた。

 白馬尻ではテントが一つ。往路で見たのと同じかどうかは分からない。ここにはトイレだけ設置されていたが休憩する姿が目立った。白馬尻から大雪渓を見上げるとかなり後退しているのが分かった。

 林道に出れば道幅が広がるのですれ違いによる待ち時間は不要になるが、まだまだ上がってくる登山者が多い。下りで汗をかいたので長走沢で水浴び。ちょうど人がやって来なかったので上半身裸になって汗を拭うことができた。

 猿倉第一駐車場に到着すると既に満車。あれだけ多くの人とすれ違ったのだから当然だろう。それに前夜泊の登山者の大半はまだ下ってきていない。私の両側の車も夜中の出発時と変わらなかった。車に乗り込んで走り出して少し下の第二駐車場を見るとここも満車のように見えたが、水力発電所の工事中の二股まで下ってもマイカー規制をやっていなかったので、まだ第二駐車場に空きがあったようだ。あそこも満車になるとマイカーは二俣で駐車するよう誘導されてタクシーで上がるしかなくなる。


 今回の白馬岳は期待通りの花を愛でることができ大満足。帰ってから所要時間を確認したら登りと下りでほぼ同じだったが、これは花を探す&撮影する時間と登り行列の待ち時間の影響だろう。どちらの影響が大きいかと言えば圧倒的に前者だろう。

 

山域別2000m峰リスト

 

ホームページトップ